遺言と異なる内容の遺産分割協議 その②

今回も遺言と異なる内容の遺産分割協議について具体的な例でお話をしていきたいと思います。

参考記事:遺言と遺産分割の関係
参考記事:遺言と異なる内容の遺産分割協議 その①

特定の財産を遺贈する遺言があるときに受遺者と相続人とで遺言と異なる内容の遺産分割協議をした場合

例えば、不動産を相続人ではない第三者に遺贈する旨の遺言があったとします。遺言者はすでに死亡、遺言執行者が就職している場合です。

この場合において、受遺者Aと相続人であるBとCは、上記の遺言があると知ったうえで、相続人Bに当該不動産を取得させる旨の遺産分割協議をしたとします。(Aは相続人ではないため、B・Cと上記の同意をしたことになります)
このような遺産分割協議は有効なのかという問題です。

この例も、前回ご紹介した民法1013条が問題となりそうですが、そもそも特定遺贈の場合は、民法986条により「受遺者は、遺言者の死亡後、いつでも、遺贈の放棄をすることができる。」と規定されており、この例でも、受遺者Aが遺贈を放棄したと考えられるため、遺贈の対象である不動産は、遺産に復帰し、遺言執行の対象からははずれ、遺言執行の余地はなくなります。

この場合、相続人が遺贈の対象であった財産について遺産分割協議をしたとしても、遺言執行者としてはこれに関与する権限をもはや失っていると言えます。

よって、その結果、本例の遺産分割協議も、民法1013条違反の問題は生じず、有効と考えられます。

いかがでしたか?
遺言の内容が特定遺贈である場合は、民法986条が効いてくるという点がポイントですね。
もちろん、内容が不明な場合は、専門家に相談した方がよいですね。

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