数次相続その①

数次相続とは?

ある方の死亡により相続が開始したが、遺産分割協議や相続登記を行わないうちに、相続人の1人が亡くなってしまったとします。
このように、前の相続の手続きをしないうちに、次の相続が開始してしまっている状態を数次相続といいます。
一回目の相続(第1次相続)に、二回目の相続(第2次相続)が続いている状態ですね。
これが、2回にとどまらず、手続きをせずに何回も相続が続いている場合もあります。

上の図では、平成25年に夫が亡くなった際の法定相続人は妻、および長女、長男の3人でした。
しかし、遺産分割協議や相続登記などの遺産相続手続きを行わないでいるうち、平成28年に長男が亡くなってしまいました。
この場合、長男に属していた父に対する相続権を、その法定相続人である妻、および子1、子2が相続することになります。

よって、夫が所有する不動産についての遺産分割協議に参加すべきは、妻、長女に加え、長男の妻、および子1、子2であり、その相続分は次のとおりです。

妻      8/16
長女     4/16
長男の妻   2/16
長男の子1  1/16
長男の子2  1/16

義理父の遺産なのに、息子の妻が遺産分割に参加するというのは、少し違和感があるかもしれませんね。

また、複数の相続が関連する点で、代襲相続との違いが分かりづらいかもしれません。

では、こちらの図(上図)をみていただきましょう。被相続人より先に長男が亡くなっています。
この場合は、代襲相続が発生します。この時の相続人は、妻、長女に加え、長男の子1、子2で、長男の妻は入りません。

被相続人よりも先に亡くなっている子などがいるときに代襲相続が生じるのに対し、数次相続の場合には長男自身がいったんは法定相続人となっています。そして、長男が存命のうちに遺産相続手続きを行っていたとすれば、何も特別なことはありませんでした。

ところが、夫(長男から見ると父)の遺産相続手続きをおこなう前に長男が死亡してしまったため、その持っていた相続権が、長男の法定相続人である長男の妻、および子1、子2に相続されたわけです。

代襲相続との大きな違いは、妻(息子の嫁)にも義父の遺産に対する相続権があることです。これは、妻が、夫(被相続人の長男)を代襲相続して、義父の相続人となったわけではなく、夫が持つ相続権をその相続人として引き継いだからです。

少し難しかったですか?

こんなことになる前に遺産相続手続きをしていれば、長男の妻も、気まずい状態にならないで済んだかもしれません。

相続手続きは早いに越したことはありませんね。

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