遺言書検認の申立

先日、50代の男性がご来所されました。ご相談内容は、遺言書についてです。
遺言書と言ってもご自身が作成する遺言のご相談ではなくて、叔母さまの遺言書の件でした。

先日叔母さまが亡くなられてそのご自宅で遺言書が見つかったそうです。

お話を聞くと、叔母さまは、ご結婚をされておらず、よって、ご主人やお子様はおらず、相続人としては、今回ご相談にいらっしゃった甥御(叔母さまの妹のお子様)さんのみだそうです。

そしてその遺言書を見せてもらうとそれは、公正証書遺言自筆証書遺言がセットになっているものでした。
つまり一度公正証書遺言を作ったのですが、次に、その公正証書遺言の内容を撤回するという自筆証書遺言を作られたようです。その二つをホッチキスで綴じ保管されていたようです。
普通に考えると、一度作った遺言書を、撤回しているわけですから、遺言はなかったことになります。
この場合は、どうすればいいのかというご相談でした。

中身を拝見させていただくと、最初の公正証書遺言には、遺産の全部を叔母さまのいとこにあたる方に遺贈するという内容でした。
そしてそれを撤回しているわけですので、遺産は、全て法定相続人である甥御さんのものになります。

さて、ここで考えなくてはならないのは「遺言書の検認」です。自筆証書遺言が見つかった場合は、全て、家庭裁判所に検認の手続きをしてもらう必要があります。
それに対して、公正証書遺言は、その必要はありません。

さて、今回の場合はどうすればよいでしょうか?
内容としては、遺言がなかったことになるため、一見、何もしなくてもいいような気がしますが、やはりそうではありません。
もし、誰か(利害関係人)が、公正証書遺言の検索をして、遺言の存在を確認し、その内容を主張してきたら大変です。
その場合でも、公正証書遺言を撤回した自筆証書遺言の検認を済ませておくとひとまずは安心ですね。

ただし、その内容に疑義が生じ訴訟に発展することがないとは言えませんが、やるべきことはやっておくというのが今すべき重要なことだと思います。

当事務所では、遺言書検認の申立てのお手伝いもさせていただきますので、お気軽にご相談くださいね。

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